日本にあるのは「社会」ではなく「世間」であるという著者の捉え方がおもしろいと感じているところ。この本では、ヨーロッパにおける個人の成立、男女関係、市民意識の形成などが歴史的に述べられている。
ヨーロッパでは原理原則があって、これはキリスト教の影響が大きいんだけれども、中世からの様々な原理原則ができ上がっていく過程には、なるほどと思えるものが多い。その内容も、日本の「世渡り術的な」基準とはまったく違う。日本で根底にあるのは、「原理原則とは関係がない、当面はこういうふうにしておいたほうがいまの状況の中では好都合だからこうしておく」という基準。これはこれで別に悪いとは思わないけど、違うってことを認識するのは大事なんだなと。